Prevalence of amyloid deposition and cardiac amyloidosis in shoulder disease compared to carpal tunnel syndrome

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【ポイント】

  • 心アミロイドーシスのスクリーニングという観点で肩関節手術と手根管症候群手術時に採取される検体のアミロイド沈着率と心アミロイドーシスの有病率を調査した。
  • 肩関節手術検体のアミロイド沈着率は同時に行った手根管症候群手術検体の沈着率と比較して低かった。
  • 手根管症候群の調査では心アミロイドーシスの診断に至った症例があったが、肩関節手術での調査では心アミロイドーシスの診断に至った症例はなかった。

【背景】

心アミロイドーシスはいままで予後不良疾患とされてきたが、近年新薬が開発され、早期発見ができれば、十分治療ができる疾患となってきている。手根管症候群が心アミロイドーシスに先行して発症することがあることがわかってきており、手根管症候群の手術時に組織検査を行いアミロイドの沈着を調査することで心アミロイドーシスの早期発見につながるという報告が相次いでいる。

以前より心アミロイドーシスと肩関節疾患との関連が示唆されているが、肩関節手術時の組織検査が、心アミロイドーシスのスクリーニング検査として有用かについて調査した報告はない。本研究では肩関節手術時の検体を調査し、アミロイド沈着率と心アミロイドーシスの有病率を調査することを目的とした。

【概要】

【方法】 肩関節鏡視下手術を受けた患者41名と手根管症候群手術(手根管開放術)を受けた患者33名を対象とした。肩関節疾患では全例で滑膜と一部の症例では上腕二頭筋腱の長頭も採取された。手根管症候群では横手根靭帯が採取された。採取された検体は病理学的にアミロイド沈着を調査し、アミロイド沈着が認められた症例については心臓評価によって心臓アミロイドーシスの有無を調べた。

【結果】 肩関節疾患では、トランスサイレチンアミロイド沈着が3例(7.3%)認められた。これら3例のアミロイド沈着はいずれも心臓アミロイドーシスとは関連していなかった。手根管症候群では12例(36.4%)にトランスサイレチンアミロイド沈着が認められた。これらの症例のうち、7例が心臓の評価を受け、2例は心臓アミロイドーシスと診断された。

【今後の展望】

今回の肩関節疾患の調査で、アミロイド沈着のあった症例で心アミロイドーシスの診断に至った症例はなかった。しかし、これらの症例が今後心アミロイドーシスを発症する可能性は否定できないため、長期的な調査による縦断的研究を行っていく。

【論文情報】

掲載誌:JSES International

論文タイトル:Prevalence of amyloid deposition and cardiac amyloidosis in shoulder disease compared to carpal tunnel syndrome

DOI:https://doi.org/10.1016/j.jseint.2023.11.009

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